各地のホテルバーは、旅先の楽しみだ。
伝統のラグジュアリーホテルのメインバーでは、街のバーでは中々味わえない歴史ある空間を楽しめ、背筋がスッと伸びる。昔ほどドレスコードは気にされなくなったが、ホテルバーを旅程に組み込むとき、僕はつい好みのジャケットを手に取り、シャツの色を吟味してしまう。ホテルバーの後はネットで見かけて気になっていた街のバーにも足を伸ばそうかなんて、トランクにはいつも洋服とともにワクワクとした期待感が詰め込まれる。
ここ数年はモダンスタイルのホテルバーが増えており、ますます気軽に利用しやすい空間となった。普段はバーを利用する機会が無いという方も、ロビーやレストランから垣間見えるバーカウンターの煌びやかさには思わず惹かれることだろう。
ホテルバーの魅力は寧ろ自由に利用して構わない点だ。待ち合わせまでの30分間で1杯だけビールを飲むもよし、部屋に戻る前にカクテルを飲みながら翌日の計画を立てるもよしと、旅先のちょっとした贅沢を演出するのに最適だ。
京都の烏丸御池に構えるザ ロイヤルパークホテル アイコニック 京都は、そんな新たなホテルバーのイメージに、前衛的なエッセンスを加えたスタイルの「THE BAR」を構える。ホテルを訪れると広がるロビー、なんとそこに空間を隔てずにゴージャスなバーカウンターが設置されている。高さ約7mの吹き抜けを活かしたバックバーは京町家の外観に見られる格子を表現したもので、京都など国産の豊富な酒類を携え、まさに同ホテルのアイコンとして来訪者を出迎えてくれる。
そんなバーの新たな楽しみ方を提供する同ホテルに注目し、今春スペシャルなカクテル企画を用意したのは鹿児島県の濵田酒造。2018年の発売以来、そのライチのような未知なる香りで全国で大ヒットを記録している芋焼酎「だいやめ〜DAIYAME〜」を率いる焼酎蔵だ。
この度2社のコラボレーションが実現し、4月より限定の焼酎カクテルがTHE BARにて提供開始される。カクテルを通じて日本の魅力を発信することをコンセプトに、同バーが開発した3種の新作カクテルだ。
フィーチャーされる焼酎はもちろん「だいやめ」と、焼酎には珍しいスパイスで複雑な香味を味わえる「CHILL GREEN spicy&citrus」の2銘柄。
香りにフォーカスしたこれらの焼酎は、どのようなカクテルに姿を変えたのだろうか。
THE BARのバーテンダー小室氏によるカクテルの開発コンセプトを、テイスティングレポートおよびメイキングショットと共に紹介する。
1杯目はショートグラスで上品に供される「憩い」。
ショートカクテルでありながら飲みやすさにこだわりアルコール度数を抑えた本作は、1日の締め括りを飾る一杯というホテルバーらしいコンセプトに基づく。
グラスを手に取るとフワッと広がるライチの香りは、だいやめのフレーバーが和紅茶によりさらに引き立てられたもの。おそらくだいやめを初めて飲む方は、これが焼酎由来の香りであることに驚かされるだろう。
中華レストランを担当していた頃に知ったライチ紅茶に着想を得ながら、飲み進める中で芋焼酎であることが伝わる必要があったと話す小室氏。そこで、日本発というコンセプトを含めフィットしたのが和紅茶だ。
香りがしっかり立つ一方で、ダージリンなど海外の紅茶と比べ柔らかな飲み口が特徴の和紅茶。それゆえにだいやめのスマートなボディを損なわず、「憩い」の後味には慣れ親しんだ芋焼酎の風味を感じることができる。
2杯目の「沙羅(SARA)」もだいやめをベースとしたカクテルだが、合わせるのはなんと日本酒。
見た目も相まって和製マティーニと呼びたくなるこのシンプルなカクテルは、だいやめと日本酒を2:1に、甜菜糖のシロップに漬けた可愛らしい金柑が互いの風味を纏め上げる。
だいやめのライチ香をそのままに、後味を日本酒らしい芳醇さに仕立てるのは、京都で作られる純米酒「月の桂」。
京都弁で新しいを意味する「さら」に由来した名の通り、焼酎と日本酒を組み合わせたカクテルは今までになく、味わいの繊細さがその絶妙な配合バランスを物語る。焼酎と日本酒それぞれの銘柄をしっかりと理解しなければ辿り着けない、まさに京都のここでしか飲めない一杯と言えるだろう。
最後の1杯はCHILL GREENを用いた春の芽吹き感じる「早緑(さみどり)」
CHILL GREENは「マーガオ」という柑橘や山椒の風味をもつスパイスを用いた、クラフトジンを彷彿とさせる新感覚の麦焼酎だ。複雑で豊かな香味を持つ本銘柄を、小室氏はさらに和のハーブ感香るカクテルに昇華させた。
和の香りを演じるのは、ニッキや柚子のボタニカルを用いた京都酒造の「京都ジン」。一口飲むと薬草感ある香りが何重にも広がり、そこから麦の甘み、隠し味の浅蒸し煎茶がすっきりとした後味に収める意欲作だ。これだけ香りが強い酒の組み合わせだとビターな仕上がりになりそうなものだが、シロップのほのかな甘みが全体を調和させている。
CHILL GREENの味からこの早緑のベースにはすぐに辿り着いたという小室氏。ロックスタイルにてCHILL GREENの特徴をゆったりと感じながら、京都の地の酒を共に新たに知る機会になればとの思いを語った。
ハーブ系のカクテルを飲まないという方にもぜひ試していただきたい一杯だ。
国内外を問わず、各地のバーで焼酎を用いたカクテルが研究され始めている昨今。
伝統文化に加えナイトライフも充実するここ京都の地で、ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 京都と濵田酒造がタッグを組み独自の焼酎カクテルを展開することは、バー業界・焼酎業界を牽引するビッグアクション。国内のみならず、海外からの旅行客が焼酎に触れるきっかけにもなるだろう。
次なるコラボカクテルの構想も進めているという2社の動向に注目しつつ、焼酎カクテルのバリエーション拡大・大衆化が非常に楽しみだ。
(取材・写真・文:BARLD)
コラボレーションカクテルについて:
①憩い(いこい)
ベース:芋焼酎だいやめ〜DAIYAME〜
原料:桜シロップ、和紅茶 他
価格:1391円(税・サービス料込み)
※「憩い」を特別価格でお楽しみいただける期間限定インスタグラムキャンペーンを開催中。詳細はザ ロイヤルパークホテル アイコニック 京都または濵田酒造の公式アカウントよりチェック。
②沙羅(SARA)
ベース:芋焼酎だいやめ〜DAIYAME〜
原料:日本酒(純米酒) 他
価格:1391円(税・サービス料込み)
③早緑(さみどり)
ベース:麦焼酎CHILL GREEN spicy&citrus
原料:ジン、煎茶 他
価格:1391円(税・サービス料込み)
<提供開始>
2024年4月1日
<提供店舗>
ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 京都
1階「THE BAR」
住所 〒604-0836 京都市中京区船屋町420
アクセス 京都市営地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池」駅(1番出口) 徒歩約2分
営業時間 17:00~23:00(L.O. 22:30)
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