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  • 執筆者の写真中島 祐哉

レコード時代の記憶/GRANDFATHER'S


渋谷で50年続く老舗のロック・バー。70年代から変わらぬクラシカルな空間で、当時の音楽に心を馳せる贅沢を味わおう。



土曜日の18時。宮下パークのオープンで賑わいが戻りつつある渋谷明治通りの地下、隠れ家のように本日のバー「グランドファーザーズ」は佇む。


ドアを開けると渋谷のネオンとは一線を画す薄暗い空間が広がり、そのギャップに少し緊張感すら覚える。

そして次の瞬間、目に飛び込んでくる美しいバーカウンターと、包み込まれるような70年代ポップスの音色に衝撃を受けた。ボリュームのある音楽に、一気に引き寄せられてしまう。


圧巻のロングカウンター


カウンター席に案内されメニューを眺める。ウイスキーがメインだが、定番カクテルは一通り用意されている。


グループで来店している方が何組かいるものの、まだ比較的余裕のある店内。レコードの音色と、曲の合間に響き渡るバーテンダーのアイスピックの音に耳を澄ましながら、落ち着いて楽しむことができる。


1杯500円からとリーズナブルな価格設定


アメリカンバーボン、オールドグランダッドのハイボールをオーダーした。


樽の香りが強く、バーボンにしては甘さが控え目な味わい。元々ウイスキーに疎い筆者だが、バーボンをいくつか飲み比べているうちに、段々と違いが分かるようになってきたのが嬉しい。


スタンダードなグラスに飾り気なく提供されるハイボール。いわゆる「特別感」のようなものではないのだが、日常の延長線上でバーを嗜む大人を演出してくれる。

 


19時頃から次第に客足も増してきて、賑やかになってきた頃にカウンター奥で焼かれ始めたのは、なんとイカのあたりめ。オーセンティックバーに似つかわしいイカの香ばしい匂いが店内に溢れ、レトロな居酒屋かと錯覚してしまう。


入店するお客さん全員がオーダーしていくあたりめ。その香りが誘惑しないわけもなく、、ドリンクだけにしようと思っていた筆者も思わずオーダー。


提供されたのは、丁寧に網焼きされ、美しく盛り付けられた贅沢な一皿。

いわゆる乾きものの硬い歯ごたえのあたりめとは全くの別物の一品料理。身はコリコリと歯切れがよく、足はフワフワ。香りが強すぎないため洋酒にもよく合うのが驚きだ。グランドファーザーズでのマストオーダーと言えるだろう。


 


初めはオススメのレコード1枚を流し続けているものだと思っていたが、1曲ずつレコードを入れ替えていることに気付いた。お店によるオリジナルプレイリストだ。

展示されるジャケットも次々と入れ替わっていき、曲と一緒にジャケットを眺めているだけでも楽しい。

ジャケット横に整然と並べられるのは100本以上のキープボトル

筆者の印象に残ったのは「Somewhere Over The Rainbow」。聞いたことのある曲が流れると、自宅の書斎にいるような気分になる。

筆者は音楽フリークではあるが、世代的にCD、あるいはMD(覚えているだろうか。。)が主流であった時代だ。そのためレコードはもちろん、このお店が流す70年代のロック・ポップスにも決して親しみがあるわけではない。

しかし往年の名曲とはどうしてこうも心を掴んでくるのだろうか。


また、バラードとポップスが良いバランスで流れるため、お酒の力もあって少し感傷的な気分になったかと思えば、次の曲では楽しげな気分に変わってしまう。音楽の力とは凄いと思わされる瞬間だ。取材の筆を進めつつ、片足はついリズムを刻んでしまう。


お店の選曲にマッチするタイトルであれば、お気に入りをリクエストすることもできる。リクエストカードはバーテンダーからもらえるため、少し勇気を出してお願いしてみるのも良いかもしれない。


カウンター奥にはレコードが仕舞われる
 


オーセンティックで重厚感に溢れる雰囲気ではありつつも、英国様式というよりは、どこか昭和テイストを残した店内。あたりめのお皿に見られるように、白地に花柄模様の洋皿に懐かしさを覚えるのは筆者だけだろうか。

大人数で楽しむこともできる。事前予約がお薦め
どことなく懐かしさを感じる、洋皿の灰皿

入り口近くにはダイヤル式の電話機が。オブジェかと思いきや時折ジリリリリと鳴り響き、今も現役のようだ。

 


混雑状況にもよるのだろうが、客同士の賑わいとBGMのボリュームに包まれるお店のため、気兼ねなく会話ができるのが一つポイントかもしれない。

その賑わいゆえか、常連客も多いはずなのだがバーテンダーとは適度な距離感が保たれていたのが非常に好印象であった。初めてでも窮屈感なく過ごすことができるのはとても有難い。



店内を照らすのはテーブルとカウンター上のブリキの間接照明だけであるため、比較的暗め。

冒頭にも書いた通り、入店時は少し緊張してしまうかもしれないが、音楽の力もありすぐにリラックスしてしまうはず。


最新鋭の街・渋谷で過ごす都心らしさを感じつつ、昭和の懐かしさにも浸ることができる。お店を出た後は映画を見終わったような心地よさに包まれる、老舗にしか出せない魅力を放つ空間であった。



 

GRANDFATHER'S(グランドファーザーズ)

東京都渋谷区渋谷1-24-7渋谷フラットビルB1

TEL 03-3407-9505

アクセス

 渋谷駅 宮益坂口から徒歩3分

営業時間

 17:00~26:00

定休日

 (年末年始を除き)年中無休






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