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カルヴァドスでサイドカーを/Bar Deauville【白金高輪】

  • 執筆者の写真: 中島 祐哉
    中島 祐哉
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

まだウイスキーもカクテルも知らない頃、初めてちゃんと出会ったカクテルはサイドカーだった。サイドカーと言ってもブランデーではなくバーボンベースのツイスト。バーボンを使ったカクテルが飲みたいという僕のオーダーに合わせ、オレンジ風味のリキュールを加えた甘酸っぱいショートカクテル。バーボンの甘みが活きたその飲み口の良さは今でも忘れられない一杯だ。


その後、あのときのリキュールはコアントローというホワイトキュラソーで、それとレモンジュースを15mlずつ、ベースとなるスピリッツ(大抵は30ml)に加えたスタンダードカクテルのバリエーションがあることを知る。ブランデーならばサイドカー、テキーラならばマルガリータ。名前しか聞いたことのない未知のお酒が、レシピを知れば親しみの湧くカクテルに変わった。



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サイドカーのブランデーをカルヴァドスに代えると、アップルカーという愛らしい名のカクテルになるらしい。

フランス、ノルマンディー地方の都市の名を冠したBar Deauville。豊富にブランデーを扱うこの店でこその新たな出会いに、当時の初々しい感覚が蘇るあまりにも原点であるせいか、近頃はサイドカーを頼む機会をなくしていたが、久々に飲みたいと思う。


ショートカクテルはアートのようだと思う。仕上げられた美しい色味と、それに華を添えるグラス。しかしいつまでも眺めているだけでなく、飲んで、自分なりの解釈を重ねてこそ面白さが生まれる。コニャックに代わりカルヴァドスがベースとなることで、林檎と柑橘と、調和よりも輪郭の鮮やかさが際立つように感じた。



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可愛らしい雄鶏をステムにあしらえたアンティーク・グラス。ノルマンディーではないが、同じくフランス出身のデザイナー、ルネ・ラリックの代表作として名高いシリーズ。カウンターの奥に鎮座するフレンチアンティークのキャビネットには、他にも同デザイナーの作品が並べられている。


この日はアップルカーを。そして近いうちには、バーボンスタイルのサイドカーを彩るグラスとして出会えるはずだ。




Bar Deauville(バードーヴィル)/白金高輪


東京都港区三田5-17-6 Arrowsal MITA 1F

・白金高輪駅2番出口 徒歩4分

TEL:03-4361-1415

営業時間:19:00〜26:00(日曜定休)



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Writer & Photo
中島 祐哉(Yuya Nakashima)

BARのフォトライター、メディア運営。

2020年にポータルサイト「BARLD(バールド)」を設立。
普段バーを利用しない人にこそ魅力に触れてほしいと、バーやパブの美しい内観とストーリーに着目。都内を中心に自身が取材した60店舗以上を紹介し、名画のように切り取った写真と軽やかな文章で店の魅力を発信する。

© BARLD  All Rights Reserved.

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