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執筆者の写真中島 祐哉

8月は中目黒でメスカル体験を|MEZCAL &SPIRITS ゲストカクテルデーレポート




好奇心を刺激する酒。

メスカルというスピリッツに対して今抱くイメージはと聞かれたら僕は迷わずこう答えるだろう。


テキーラと同じ、アガベを主原料とした兄弟分のような酒でありながら、その品種や製造工程の違いによる多様なフレーバーをもつ。いや、「製造工程」という工業的な表現を避けたくなるほどに、メスカルはメキシコ9州の産地の風土に根付いた、自由でナチュラルで、原生的な酒なのだ。



メスカルの味わいには、第一に使用するアガベ品種の個性が色濃く反映される。ESPADIN(エスパディン)という代表品種から、山奥で育つ野生種まで世にはなんと200種以上ものアガベがあり、青っぽい香り、柑橘感など様々だ。ブルーアガベ(アガベアスール)のみを使用するテキーラとの大きな違いはここにある。

また先ほど述べた「製造工程」も味わいに影響する。メスカルが持つスモーク感は、アガベを蒸し焼きにするときの煙が自然と香りづけるものだ。地中に掘った大きな穴の中で、薪に火をかけて石を加熱。その上にアガベのピニャ(葉と根を切り落とした球形部)を並べ、バナナの葉などで蓋をし蒸し焼きにするのが伝統的な製法。搾汁ではロバが回転式の石臼を引いたり、動物の皮で作られた醗酵槽など、今も現地ではこうした昔ながらの光景が見られる。


主原料の品種数によるポテンシャルに加え、トラディショナルな製法には、他のスピリッツとは異なるロマン心をくすぐられる。




中目黒の蒸留酒専門リカーショップ&バーの「&SPIRITS(アンドスピリッツ)」は、8月の1ヶ月間、そんなフレーバー溢れるメスカルの魅力をカクテルを通して体験できる企画をスタートしている。

ストレートやソーダ割のみならず、芯の強いその特徴的な香りはカクテルにも活かしやすい。メスカルの美味しさを手軽に知ることのできるきっかけとなること間違いなしだ。


まずは先日開催されたゲストイベントの模様をお届けする。

来る8/18のゲストイベントや、今月限定で提供されているスペシャルカクテルの予習をして行こう。


 



8月のマンスリーイベント「MEZCAL &SPIRITS」初の週末。

8/4のスペシャル・カクテルデーのゲストを飾ったのは、月島のバーCuishe Mezcaleria(クイシェ・メスカレリア)オーナーバーテンダーの吉川優氏。バーでは250種類ものメスカルを取り扱っており、メキシコの蒸留所を毎年訪れているメスカルのスペシャリストだ。



この日は、吉川氏自身がインポートした日本では貴重なブランドを含むメスカルで、3種のカクテルを振る舞ってくれた。


乾杯には「パロマデベルデ」。

メキシコやアメリカ南部料理には欠かせないソースのサルサベルデ。トマティーヨとコリアンダーを使ったオリジナルサルサを、メスカルと合わせた特別なパロマだ。


メスカルには癖が少なくカクテルベースにぴったりのSAN COSMEを使用。サルサや添えられたパクチーから香る、土や革っぽい匂いが癖になる。

爽やかなリフレッシュメントでありながら、何層にも重なり合う複雑な味わいは丹念な料理をイメージさせる。



続けてのカクテルは「イエローベル」。



トロピカルなカラーリングと裏腹にピリッとスパイシーな味わいのこのカクテルは、先ほどと同じくSAN COSMEにパプリカとハラペーニョ、エルダーフラワーのリキュール、パッションフルーツドリンクを合わせている。

ロックスタイルで先ほどよりもSAN COSMEの穏やかなスモーク感を感じやすく、パプリカの野菜らしい甘みとともにじっくりと楽しみたい。





吉川氏「メスカルは2010年頃から徐々にアメリカで人気が出てきました。元々は小さな田舎村の農家の方がファミリーで楽しむくらいの規模で、大量生産や輸出へのハードルが高かったようです。私が六本木のAGAVEにいた頃も日本には2、3ブランドしか入ってきていませんでした。欧米の資本が入って少しずつ広がっている状況です」


──今人気のスタイルのようなものはあるのでしょうか。


「作り手によってスタイルが結構分かれるため一概には言えませんが、昔はもっとワイルド味だったりスモーク感が強いものも多かった気がします。

スモーク感というのはメスカルを作っていると自然についてしまうものなので、それが強すぎるのはあまり良いメスカルではないとも言われます。やはり一番大事なのはアガベ本来の味わいなので。蒸し焼きにするときの木材にこだわって煙を抑えたりして、スモーク感が全然ないメスカルも少しずつ出てきています」



3つ目のカクテルは、メキシコの唐辛子をインフュージョンしたカンパリと、薬草酒のスカーレットで作る「モレグローニ」。削り入れた粉末は、オアハカで朝食に飲まれるチョコラテというホットチョコレートの素だ。メキシコ伝統のチョコレート・サルサ「モレ」をイメージした一杯となっている。


ベースに使われるBOZAL Ensambleはまだ日本でほとんど流通していない貴重品。

3種の原酒をアンサンブルしたいわば「ブレンデッド・メスカル」であり、定番のエスパディンに加え、野生種のBARRIL(バリル)、MEXICANO(メヒカーノ)という3種類のアガベを個々に蒸留している。蒸し焼きの工程から複数混ぜて造るのが伝統的な製法だが、近年は蒸留後にブレンドするスタイルもあり、より複雑な味わいに仕上がるという。



吉川氏「BOZALのようにしっかりと資本が入っているブランドでも、作っているところ自体はやはり昔ながらの雰囲気なんですよね。

メスカルのボトルには、アガベの品種から製造しているエリア、マエストロに加え、蒸した時に使われる木材の種類や粉砕の仕方まで詳しく載せているものがあります。マエストロというのが生産者のことですが、このように蒸留所というよりも『誰々さんが作ったメスカル』という意味合いが強いですね」



これだけ味わいが洗練されていながらも、生産者がバイネームで語られるほどにハンドメイドの温かみがあるメスカル。ここ東京で、スペシャリストによる生きた知識を学びながらその酒の魅力を味わえるというのは、とても豊かで幸福なことなのかもしれない。



(写真・文 BARLD)


 

吉川氏に続き、8/18(日)にはメスカル協会会長であり、テキーラ&メスカルバー「Ferri's」のオーナーであるケーデン・ファラマーズ(フェリー)氏がゲストを務める。


当日限定の3種類のスペシャルカクテルには、&SPIRITS代表の黒田氏も大絶賛(!)の、特製ソルトを添えて提供される。フェリー氏こだわりのブレンドソルトとメスカルの組み合わせをぜひお見逃しなく。


(左)ゴクゴク飲めてしまうトロピカルスモーキーな一杯

(右)紫蘇の香りが爽やかな日本×メキシコの融合カクテル

(下)メスカルを使ったエスプレッソマティーニ



ゲストデーにご予定が合わない方もご心配なく。

毎週日曜〜木曜のバータイム18時以降は、&SPIRITSのヘッドバーテンダー 中島大渡氏が考案した4種類のメスカルカクテルをいつでも楽しむことができる。


野菜たっぷりの手作りサルサを添えたカクテルなど、夏休みの散歩や仕事終わりにフラッと立ち寄りたくなるラインナップ。&SPIRITSで一夏のメスカル体験を満喫しよう。


(左上)「パローマ・ロサ」

メスカル×ピンクレモネード。紅茶のリキュールとラズベリーピューレを使用し、飲みやすい口当たりで暑い時期の一杯目にオススメのカクテル。

(右上)「ネグローニ・ブランコ」

ホワイトネグローニをメスカルで。桜とスミレのベルモットと、ジャスミンをインフューズしたメスカルは相性抜群。

(左下)「JP・ヴェルデ・スマッシュ」

ポカリと青紫蘇の爽やかな風味が暑さを吹き飛ばしてくれる、日本の夏を表現した一杯。

(右下)「マルガリータ・コロリーダ」

カラフルという意味を持つコロリーダ。目にも楽しいサルサ色をした、メキシコを代表する料理と王道カクテルを融合させた一杯。




&SPIRITS(中目黒)でのイベント日時

<フェリー氏ゲストデー>

2024年8月18日(日)15:00 - 21:00

<マンスリーカクテル提供>

毎週日曜〜木曜 18:00 - 23:00 (2024年8月29日まで予定)



(カクテルの写真・紹介文は&SPIRITSさんのPR TIMESより引用)


 


&SPIRITS(アンドスピリッツ)


◆店舗情報

住所:東京都目黒区上目黒1-14-6 メゾンベルウッド1F/B1F

電話番号:03-6416-5417

営業時間:12:00-23:00





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