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今宵、英国まで/THE ALDGATE

執筆者の写真: 中島 祐哉中島 祐哉

ブリティッシュ・ロックとクラフトビールを味わえる、異国情緒溢れるブリティッシュ・パブ。

海外のお客さんに囲まれ、今宵はイギリスへショートトリップだ。



渋谷センター街の中心に、ユニオンジャックがはためくビルがある。

若者たちの賑わいを背に階段を上ると、その正体、The Aldgate(ジ・オールゲイト)が迎えてくれた。


アンティークな木目のフレームに褐色がかった白い壁紙、そして洒落の効いたポスターが、ここが老舗オールドパブであろうことを語りかけてくる。


入り口近くのスタンディングスペースには常連と思しき外国人のお客さんが笑い合う姿が。スタンディングスペースを通り抜けると、ブリティッシュ・ロックのボリュームが増してくる。渋谷の喧騒から一転、異国へ訪れたような感覚だ。

店内入ってすぐはスタンディングスペースとなっている

カウンターに着くと、まず目を引くのは大量のレコード。元々はロック・バーを営んでいたというマスター、ブリティッシュ・ロックへのこだわりは並々ならぬようだ。 筆者はなかなかの音楽ファンであるため機材を見ているだけでワクワクする。一日のご褒美として嬉しい空間だ。

レトロなコーナーカウンター。木の暖かみがたまらない
カウンター前にはレコードプレーヤーと数千枚はあろうかというレコード
 

キャッシュオンスタイルのため、オーダーはレジカウンターまで。

メニューを見て驚かされるのはそのビールの種類。手書きのボードには書ききれないほどのクラフトビールがずらり。そしてカウンター後ろには20種ものタップが煌びやかに並ぶ。都内を巡ろうともこれほどまでの品揃えのパブにはなかなか出会えない。

メニュー前でどれにしようかと悩むのが楽しい
生ビールの種類。その日の気分に合わせてオススメを聞いてみよう
圧巻のタップ・セレクション

ビールは定番から珍しい銘柄まで幅広いセレクション。まずは一杯目、オリジナル・ハウスエールのALDGATE ALE(オールゲイトエール)をオーダーした。


オールゲイトエールは、アンバー系をベースに黒のようなふくよかな深みと苦みが心地よい一杯。この一杯を楽しみに訪れる人も多いのだろうと感じさせる、非常に安定感のあるハウスエールだ。

本格ビアパブながら1パイント950円というお手頃さも魅力

ほどなくして、一緒にオーダーしたチキンとセロリのプディングが届けられた。グラタンのような見た目だが、チーズが入っておらずホワイトソースがメインのためライトに食べやすい。ホクホクとしたチキンにセロリの香りがたまらない一品だ。

チキンとセロリの珍しい組み合わせ

続けて揚げたてを用意してくれたのはファラフェル。実はオールゲイトの取材にあたり一番気になっていたフードメニュー。

チキンナゲットのような見た目だが、ファラフェルはつぶしたひよこ豆を素揚げしたもので、近年ヴィーガンフードとしても注目されている料理だ。ヘルシーだが食べ応えがありビールともよく合うので、ぜひアツアツのうちに召し上がってほしい。

中東の伝統料理。最近は専門店も多い注目料理
タパスはオール500円ながらボリューミーな品が多い
 


お腹が満たされてきてご機嫌な筆者。ライトなものが飲みたいと尋ねたところ、お薦めは伊勢角谷の甘夏ペールエール。

ペールエールの独特の苦みが少し苦手な筆者だが、この銘柄は苦みと甘夏のスッキリした甘みを見事に組み合わせ、えっこんなに相性良いの?と思わず笑みがこぼれる一杯。オレンジ系のビールカクテルとは異なり、あくまでベースはペールエール。乾杯にも適した一杯だ。

香りの良さに撮影を忘れ思わず一口

甘夏ペールエールを片手に店内を散策させてもらうと、あちこちにジョーク・メニューが書かれていた。


ジョークと言わずぜひメニュー化してほしいのは「マクドナルド・マックエール」。コカ・コーラテイストのビールを想像してみたが、果たして。


「毎日がエイプリル・フールみたいに遊んでますよ」とマスターの一言。ジョークは店内の仕掛けのみならず、お店のSNSではオールド・パブとは思えないような可笑しな写真がたっぷりと投稿されているらしい。


このような仕掛けのせいか、クラシカルな内装でありながらフランクに楽しむことができ、初めて訪れるお客さんもすぐに馴染むことができそうだ。

右側はすべてジョークメニュー。ドイツ語&英会話レッスンは無料だ!?
富士山まで143キロ、ビール飲まなきゃ着かないよとのメッセージ
ジョークのつもりが定番化したという「タイ焼き&チップス」
 


ジョークメニューのバリエーションに会話も盛り上がり、そろそろ本日締めの一杯。もう一つの看板ビール、ALDGATE PORTERをオーダーした。


ポーターは口に含んだ瞬間のビール感から、次第にコーヒーのような香りに変化していく味わいがたまらない。奇をてらわずスタンダードを追求した一杯であり、流石の美味しさにお店のプライドを感じる。



近年はクラフトビールの人気が高まり、それらに特化したモダンで洗練されたお店が増えてきた。ビール好きとしては嬉しいムーブメントだ。


しかし筆者としては、使い込まれたテーブルやベンチの暖かみに包まれて過ごす贅沢さを伝えたい。ここオールゲイトでは、イギリスの田舎町で愛される老舗パブへ辿り着いたような気分で、マスターこだわりの選りすぐりのクラフトビールを楽しむことができる。

テーブルやベンチは創業から使われる正真正銘のヴィンテージ

ブリティッシュロックのクールなギターの音色を聞いていると、気持ちがクールダウンし一日が終わる気配を感じてくる。そこに陽気な海外出身のスタッフの声が響き渡り、オーダーするお客さんを笑顔に、そしてカウンターに座る自分も思わず目を細めてしまう。


このアットホームな活気がブリティッシュ・パブの居心地の良さ、そしてオールゲイトが渋谷の地で20年以上も愛され続ける魅力なのだろう。




 

The Aldgate British Pub(ジ・オールゲイト)


東京都渋谷区宇田川町30-4 新岩崎ビル3F

TEL 03-3462-2983

アクセス

 渋谷駅徒歩5分

営業時間

 月~土 18:00~26:00

 日・祝 17:00~26:00

定休日

 なし









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